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富士桜法律事務所

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投資信託

投資信託は必ずしも単純ではない

投資信託は,今や,銀行も販売を行うようになった商品です。銀行窓口で投資信託を勧められた経験がある方も多いと思います。確かに,投資信託は,金融庁の監督指針においても「専門家による分散投資を可能とし,資産価値を容易に把握できるという特徴を有する金融商品であり,専門知識や経験等が十分でない一般顧客を含めて幅広い顧客層に対して勧誘・販売が行われる商品」と説明されている商品です。しかし,仕組みが複雑なもの,ハイリスクなものもあります。現に,最近でも,投資信託について適合性原則違反を理由に違法性を認めた裁判例が出ています。

回転売買の温床となっている

投資信託の真の問題は,金融機関に多額の手数料収益をもたらすため,回転売買の温床になっているという点です。特に,投資信託については,証券会社のみならず,大手銀行が回転売買を行っている例が散見されます。

株式取引の項目でも述べたように,通常の株式取引の手数料率は,1%未満の,零コンマ数%程度です。しかし,投資信託の手数料率は3%程度と言われています。つまり,金融機関側から見ると,株式取引をチマチマと取り次ぐよりも,投資信託の売り買いをさせた方が多くの収益があげられるということになります。このため,投資信託は,回転売買の温床になっているのです。

日本経済新聞の記事によれば金融庁の幹部が「(回転売買には)経済的な合理性はなく,それをしないと経営が成り立たない販売会社には社会的な存在意義がない」とまで言っているとのことですし(2014年6月12日記事),証券取引等監視委員会の大森局長(当時)もインタビューで「不況が長引くなか,証券会社や銀行も食べていかなければならないので,分かっちゃいるけど止められないみたいなところはあるのだろう。でもそんなことを続けて,投資家の長期の運用成果が上がるわけはない」と述べています(2015年4月24日記事)。

投資信託で回転売買が行われていることは,データにも表れています。金融庁が公表している「金融モニタリングレポート」によれば,投資信託の平均保有期間は,2010年には2.86年であったにもかかわらず,2013年には1.98年にまで下落し,全体として,短期売買が行われていることが表れています(もっとも,その後,平均保有期間は少し長くなったようです。)。私が目にした事案では,大手証券会社が顧客に2~3か月で投資信託の乗換えをさせ,わずか3年の間に1億数千万円の手数料を得たという事案もありました。

ETFの台頭

ETFとは,Exchange Traded Fundsの略で,投資成果が東証株価指数,日経平均株価などの株価指数や商品価格などの指標に連動するように設定された,上場投資信託です。投資信託という形態ではありますが,指数に連動するという点は,金融機関敗訴の判決が多数存在する仕組債に類似しています。2001年のETF制度創設当初のETFは特定の日本の株価指数に連動することを目的とするもののみが認められていましたが,その後,海外の株価指数,商品価格などと連動するETFも登場し,外国投資信託が国内の取引所に上場されるなど,ETFの商品の多様化・複雑化が急速に進んでいます。今後,ETFをめぐる事件が増えるのでは,と感じています。

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