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富士桜法律事務所

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外貨建て保険

外貨建て保険とは

外貨建て保険とは,保険料の払込みや保険金・年金の支払いなどを外貨(米ドル,豪ドル,ユーロなど)で行う保険です。

外貨建て保険には,①終身保険タイプ(死亡した場合に死亡保険金を受け取れるもの),②養老保険タイプ(死亡した場合には死亡保険金を,満期時に生存していた場合には満期保険金を受け取れるもの),③個人年金保険タイプ(加入時に定めた年齢から年金を受け取れるもの),④がん保険タイプ(がんにより入院したり手術を受けた場合に給付金を受け取れるもの)などがあります。

「保険」なのにリスクがある

外貨建て保険には,「為替リスク」があります。外貨で保険料を払い込み,外貨で保険金や解約返戻金などを受け取る仕組みであるため,受け取った外貨を円に換算する際に為替変動の影響を受けます。円高・外貨安になった場合(例えば,1ドル=100円が1ドル=90円になった場合)には,払い込んだ金額よりも,保険金や解約返戻金の額が下がり,損害を被ります(元本割れ)。

もし,円高・外貨安が進んだとしても,中途で解約できれば損害を回避できそうです。しかし,例えば,一時払いの外貨建て個人年金保険の場合でいえば,既に為替で損害を被っているのに,契約締結から一定期間は「解約控除」により金額が減らされ,更に「市場価格調整」によって金額が減らされる,という,二重三重に損害を被る内容になっています。したがって,契約期間(長いものだと20年以上)は,円高・外貨安が進んだとしても,損害なしで解約することは難しいのです。長期間,「為替リスク」にさらされ続ける,というわけです。

「保険」というと,交通事故や病気などの「万が一の事態」に備え,保険会社に保険料を支払い,その「万が一の事態」が生じた場合には保険会社から保険金を得られる,という制度をイメージされると思います。これは,「リスクの転嫁するもの」と表現できます。しかし,外貨建て保険は,これとは逆の「リスクを引受けるもの」と表現できます。「保険」という言葉から連想されるものとは「逆」ともいえるのが,外貨建て保険なのです。

外貨建て保険は,金融庁の公表する各種資料においても,「投資性が強い商品」,「運用商品と保険商品を複雑に組合わせたもの」,「分かりにくい」などと記載されています。私自身も,例えば,外貨建ての一時払い個人年金保険は,外国為替に連動する仕組債 に近い商品構造だな,と感じます。

社会問題化している

このような外貨建て保険が,生命保険会社(直販),代理店,銀行窓口(窓販)などで販売されています。高齢者にも多く販売されているようです。報道によれば,2017年4月~6月に銀行窓口で販売された生命保険の7割が外貨建て保険で,2017年3月末時点で個人が保有する外貨建て保険の資産残高は53兆円にものぼる,とのことです(金融庁の公表する資料によれば,外貨建て保険の販売手数料は,投資信託の約3倍,仕組債の約2.5倍もの率であるようです。生命保険会社や銀行が大量に販売した理由がよく分かります。)。

そして,現在,外貨建て保険については苦情が急増し,社会問題となっています。2017年度の苦情件数は5年前の約3倍にも増加し,苦情の大半は「販売時の説明が不十分」という内容です。また,2018年12月には金融庁と生命保険会社との会合において金融庁が「商品内容の情報提供がわかりやすく行われていない」と指摘し,外貨建て保険の監督強化に乗り出した,との報道も出ています。

2019年2月には,定例会見において,全国銀行協会の会長が「本来何をすべきだったかについては真摯に受け止めなければいけない」と述べ,生命保険協会の会長も「リスクに対して十分な対応ができなかったのはしっかり反省したい」と述べました。

被害回復へ向けた取り組み

2017年より外貨建て保険についての相談を受け始め,訴訟という形で,既に,被害回復へ向けて取り組んでいます。保険特有の部分はあるものの,適合性の原則違反や説明義務違反を主張立証していく,という点は,他の証券被害の事例と共通します。

ご自身が,あるいは,ご高齢のご家族が十分な説明を受けないままに外貨建て保険を契約してしまい損害を被った,という場合には,ご相談下さい。

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